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物語は恐ろしく真っ暗な、そして冷たい過去の出来事からスタートする訳だが、僕は「枯れ葉の中の少年」という何か寂しげな、然るに光を浴びているが如き、いわさきちひろさんの可愛らしい絵を思い出していた。そんなことを考えている間に街が大変なことに。世界を守ろうとして空から男が現れる。しかし、閃光と爆風……、ビルは壊れ人間も犠牲になってしまう……。世界を救おうとする空飛ぶ男と、人々を守ろうとする大企業の社長。空飛ぶ男は偽りの神なのか。正義と正義は一つの正義だと思っていたが、こんな正義があったなんて。この映画の実に憎く面白いところだ。デーン!ズズン!デーン!ズズン!の音楽もまるで風と炎の勢いが強まっていくことを予言しているような気がした。

「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」を初めて知ったとき、意味が分からなかった。何故二人は戦うのか、愚直すぎる、正直一途すぎる二人なら有り得なくもないが、勝敗は分かりきってるのではないかと、観る前から考えた。黒い影が過る、黒いマントをひるがえし、公道をテクノロジーで武装された車で疾走し、悪党を追い詰めコウモリの焼き印を残す。これがホントのヤキを入れる……、億万長者の天才社長ブルース・ウェインだ。あらゆるスキルを持ち、近接戦闘の達人でも赤いマントの男とは勝負にならない。スーパーマンは最強の男だ。何度も言う、隣の人がヒーローか宇宙人かと、種々言われるこの時代でもスーパーマンは最強だ。だが、バットマンは頑張る。バットマンの正義の心は人間を超えている。そうだ、人間は小さい。小さいけど、バットマンと地球の自転を逆回転させる力を持つスーパーマンとの、正義の心は同じ大きさだ。意外な結末をここで書く訳にはいかないが、泰平を願い戦ってきた❝鋼鉄の男❞と、憂き身をやつして平和を守ってきた❝闇の騎士❞の向かう場所も同じはずだ。

バットマンの映画に於いて、毎度好きなシーンは、バットシグナルがサーチライトから照射されて、バットシンボルが浮かぶ空。そして、零時のしじま、ゴッサムの高層ビルてっぺんに立つバットマン。恰好いいシーンだ。沢山いるヒーローの中で一番似合うんじゃないか。余談だが「血は赤いのか?」とスーパーマンに問いかけるバットマンの炯眼に対して、僕は「はい」と答えてしまった。

「あ、イソヒヨドリの雄だ!いやUFOだ!違うよ、僕らのスーパーマンだよ」

ウェリントン眼鏡(ウッディ・アレン監督のような眼鏡)を掛けたハンサムなジェントルメン、クラーク・ケント。普段は恋人ロイスにデレデレなデイリー・プラネット社の新聞記者だ。ただ、今作ではクラークのワイルドな一面も見ることが出来る。ロイスとの熱いキッスシーンがあり、クラークは服のまま浴槽にドッボーン!眼鏡吹っ飛ぶ速度でぶっちゅー!なんて、歯折れるでしょ。何のこれしき、力をコントロール出来るのがスーパーマンだ。更に、耳が長くなくても耳が良い。市民の危険を察知したならば、電話ボックスで背広を脱いで(本来高速変身可能なので不要ではあるが)スーパーマンに変身、悪者退治、これにて一件落着。これは、通行人を装って、いきなりスリラーを踊るだけ踊って去っていくフラッシュモブのような❝新聞記者のケンさん❞と言えなくもない。弱点はロイスってことでいいだろう。

この映画タイトルの付け方も異様だが面白い。戦うのに、誕生とは。未来の出来事が頭を過った。ともあれ、僕はいつもバットマンもスーパーマンも実際にいると考える。つまるところ、想いが無ければ何もない。ヒーロー好きはヒーローが何処にいるのか、はっきり知っているだろう。















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